──電気窯だから、今はどこでもできますよね。

そう。どこでもできる。ただ、電気窯の場合は家賃払ってるみたいなもんだからね。使わなくたって基本料金取られるから。高いぞぉ。

──東京で個展をされているようですが、反応はどうですか。

最近よくないよ。景気が悪いもん。特に悪い。
俺が始めたのは20年前でしょ。こっち帰ってきたの、ちょうどバブル崩壊した後だから、一回もいい思いしてないよ(笑)。ずーっと景気悪い。
話だけ聞くと、前は個展やると30分で完売したとか、「もっと高いもんないのか」って言われたとか、そういう時代だったらしいんだよ。俺はそんな思い一回もしてない。

──ご自身で営業されるんですか。

もちろん営業しますよ。百貨店は行かないけどね。それは声がかかったときだけ。ほかの個人のギャラリーは全部自分で。だって俺のこと誰も知らんもんな。東京しかまだ縁がないけど、土地勘があるじゃない。だから歩きやすいし。大阪行ったってわからんもんね、全然。
つくるのは毎日やってんだから何とかなるけど。売るのは大変だよ。


──使われてる技術は年々変わってきていますか。

変わってない。磁器やるようになってから10年。散々いろんなことやったけど。


──それ以前は陶器を?

うん。土ものもずいぶんさわったね。信楽から越前から、大概のことやったけど。

──その頃は九谷焼としてやってなかったってことですか。

その境目をどう思います? 石川県でつくれば九谷焼って言うんじゃないかね。
瀬戸から買ってる素地に絵付けして、九谷焼で出るものもあるわけよ。それがいま論争になってるんだわ。花坂の材料じゃないんだもん。このへんだって地元の土を使わない人、増えてるんじゃないかね。信楽だって、いっくらでも手に入るもん。

──いまは花坂の土をお使いなんですよね。

うん。県内はあそこしかないからね。だけどいま、還元で炊かなくたって、酸化でいい磁器が取れる時代なんですよ。うちは電気窯だから、途中からガス入れるんだよね。それしなくていいわけですよ。ところがメーカーが1トン単位で買ってくれなきゃだめだっていうんです。土を。うちは1トンあったって使いきれないよ。





















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