──マットな質感、つるつるではないっていうのは何かあるんですか。

これは絵の具の加減でつくるの。厚くつけちゃうと、つやが出るんです。ほどよくつけとかないと。

──いろえ金彩っておっしゃいますけど、普通の金彩みたいにピカピカしてないですね。

下地が光ってないと、金も光らないですよ。マットになっちゃう。ふつうはほら、焼きものって上に釉薬のせて上絵付けするでしょ。うちの場合は一切釉薬使わないんですよ。締め焼きやってるんで。内部には使うけど。締め焼きの上に、絵の具をつけてくわけですよ。


《いろえ金彩縞文鉢》

──何回も焼かれるんですか。

一色ごとに。たとえばこれの場合グリーンをのせますよね、で、まわりをマスキングするんですよ。叩いて絵の具つけるんで、そうしとかないとはみだしちゃう。で、はがして、一回その色焼いて、次の色にかかるわけです。焼く温度は一緒。ただ、金だけは100度落としますけど。
ストライプ2色使ったら2回ですよね。金で仕上げて3回。素焼きやって本窯やって、だから最低5回か6回は窯入れないと、完成しないんです。
これ洋絵の具でね、九谷の色とは違うんですよ。幕末に西洋から伝わった色なんですよ。もう長いですよ、歴史は。九谷庄三って聞いたことない? あの人がよく使ってたの。
色を混ぜることもやります。いまうちに118色ほどあるんだけど、混色入れて。でも使うのは10色もない。

──ベタっとした感じがしないのは、叩いて絵の具を置くからですか?

そう。筆で塗るなんてことは、とてもじゃないけど、もうムラムラになって、見れたもんじゃない。叩くっつてもね、何に使うんだろうな、染織に使うぼかしの筆だと思うんだわ。こういう筆で叩くのよ。絵の具をつけて。これが大小あるの。これでこうやって…。ひたすら根気する仕事です。

──はっきりした色合いですよね。高山さんの性格もはっきりされてますか。

それが一番困るところよ。一番の欠点だよな。出るわな、どうしても性格が。
なんていうんだろ、やっぱり、いいと思ったものをやるしかないんだよね。繰り返しやるしか。訓練だね、色使うのは。

──つくるときは、うつわの使い道を考えますか。

考えますよ。家事が一番センスを磨けるんですよ。掃除、洗濯、料理。それから着るもの。それをしっかりやればセンスが伸びます。間違いなく。特に女の人は(笑)。最近はおろそかにしてるけど。だって色から何からすべてじゃない? 形から。整理整頓だって、バカにはできないですよ。料理も自分でつくったほうがおいしいじゃん。家事で磨くのよ。使い始めると面白くなるの。
旅行行ったって楽しいじゃん。いろいろ見るもの。趣味が増えるといろいろ楽しいですよ。旅行が倍ぐらいになるから。買いたいもん買えりゃ最高だけど。

──これからこういうものをつくる、とか、そういうのは。

わからん。さっぱり(笑)。

《好きな加賀の場所》

加賀のいいとこぉ?
福井県が好きなんだよね。もう行くと帰ってこれなくなるの。面白くて。農家を見て歩くのがとにかく面白いのよ。一回行ってごらん。建物がいいんだよ。加賀の建物の安っぽいこと! うちなんかもそうだけど(笑)。

加賀のいいとこねぇ。
この(曽宇の)奥に観音様あるの知らないよね? 200メートルくらいの山の上。寺小山観音。養老元年つうから、そっからあるの。先月かな、なんかお祭りあって、大勢来てましたよ。春まで待たないと熊出るぞ。

(2010年11月2日)


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