──みどり(九谷の場合、青という)もとても綺麗ですね。
九谷の場合、青が命だと思ってますから、若い出発の頃に2000ピースほど試験をしましたね。他の絵具の試験にも没頭して、そんな日々を過ごしたものです。今現在使っているのは100色くらいなんですが、必要に応じて増えていきますね。
《青手野葡萄栗鼠図角鉢》 |
──古九谷を意識されているということですか。
やっぱり僕は青手も好きでね。古九谷五彩で一番大事な色は青だと思ってます。
でも僕の作品はパステルカラーのような、淡い中間色で描くことが多いので、作品を見て「現代感覚の九谷焼ですね」ってよく言われます。もちろん青手の作品もありますが。
──伊豆蔵さんは染付の食器も作ってらっしゃいますよね。
ほとんどの仕事は九谷の色絵磁器なんですが、柔らかい染付食器も使いやすくて好きですから。ただ、染付食器も九谷焼も磁器ですし、出発点が同じだから、特に分けて考えているわけでなく、やってます。
《染付鳥図六角皿》 |
──作品に花を描かれたりしてますけど、何を生けるとか、そういうイメージってありますか。
九谷焼は色絵の世界で、絵を見ていただきますから、あまり花は入らないかもしれないですね。このまま飾ってくださいって言います。飾り花瓶が多いですから。染付とか吸坂手なら花が入りますけどね。でも華道家の方で、実に上手に色絵の花瓶に花を生けられて、花も花瓶も生きていて感心したことがありました。
《色絵秋桜図飾花瓶》 |
──伊豆蔵さんの作品は普段どのようなところで見ることができるんですか。
春の新工芸展と秋の日展には出品していますが、年2、3回、三越、高島屋の美術画廊で個展をしています。地元でも機会があれば個展をしたいと思ってるんです。
──個展のときはずっと会場にいらっしゃるんですか。
います。展示から撤収まで。僕ひとりで行くんです。