──窯造るのはすごく時間がかかったんじゃないんですか。

これは半年ぐらい。薪つくって、作品つくりながら。全部昔の瓦屋さんの窯を崩して、いただいてきた。耐火煉瓦を。

──東京で窯を造ろうと思われなかったんですか。

探したことはあるけどね、独立する前に。土がいかんせんないから。場所は、(実家が)奥多摩のほうだからあるんだけどね。やってる人いるよ、最近。青梅とか、五日市とか。
土だけはない。

──じゃあ今、中村さんが使われている土はもっぱらこの辺のものなんですか。

もともと越前のを使ってるから越前も使うけど、最近、業者の人と知り合いになったんで、こっちの土をだいぶ使ってる。専門の人が掘ってるとこ行って、ここが欲しいんだっていうふうに言えば、掘ってくれるから。
今ね、田んぼをつぶして粘土だけ掘って、また元に戻してちゃんと整備してって、そういうことしてるんだよね。それでももう昔から相当やってるから、だんだん少なくなってる。どれだけ続くか…。


──土はブレンドするんですか。

いや、ほとんど。こちらの土同士はブレンドするけど、あんまり越前とはブレンドしない。越前は越前で。


──このへんの土の肌合いっていうのは、どんな感じですか。

まあ白い土から赤土、いろいろあるから、一概に、これだっていうのじゃないから。

──釉薬はどうされてるんですか。

基本的にこれ(穴窯で焼くもの)は釉薬かけないんだよね。自然釉だから。あと、登り窯は自分でいろいろ。
穴窯は焼き締めで、登り窯は、火前で焼き締めして、後ろで釉薬。釉薬は、灰釉やら白化粧やら、いろいろ、何種類か釉薬、自分で作って。



──電気窯はないんですか。

電気窯はない。やってもいいんだけど(笑)、からだが言うこときかなくなったら。わかんない、それはね。どうしたって体力が…。

──薪にこだわりたいっていうのはあるんですか。

うん、まあ、焼き締めって薪でないと。それらしいのはなんとか人工的にできるけど…。やっぱり、薪でないと出ないから。

──色の変化は自然にできるわけですよね。

燃料の灰と、土の鉄分やら何やらが融合して、そういうのができる。

──じゃあ、あんまりイメージをもって作ったりはしないんですか。

いや、経験積み重ねると、6、7割はね、計算で。その通りには出ないにしても。

──窯の中での置き場所によって変わってくるんですか。

置き場所と、土と、そのときの窯の状況。焚いてる途中も刻々と変わるから、難しいんだよね。


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