スケッチはする。だって、おっきな壷なんて、後で形変えられないから、ある程度寸法も割り出して、作っていかないと。
それはいろいろ。昔のものだったり、自然の形だったり。貝とか、石とか、花とかね。
そのものじゃなくても、イメージ。
《焼締割山椒》 |
花はやっぱり、形。全体の形とか、花びらそのものもあるし。野菜でもそうだね、曲線とか。ここ、笹百合がいっぱい咲くから、笹百合の形とか。
これはもともと砧の変形だね。ただこれは比較的、椿を根元にぽっとして、首長くして、合うような感じ。これは椿が高いけど。ちょっと変わった生け方できるんじゃないかな。椿を生けて様になるような。ま、椿じゃなくてもいいんだけど。
綺麗なマルはいっぱいあるから。綺麗なマルって、鋳込みでやれば綺麗になるよね、機械でね。洋食器なんか、それがいい場合があるよね。鋳込みでやると変形もしづらいし。
手びねりで作ってると圧が違うから、厚みとか違ってきたり。そうすると、特にこういう窯は変形しやすい。
昔からっていうか、だんだん変わってくる。使ってみてっていうのはもちろんあるね。
進歩するとは限らないけど、変わってはいく。
無念無想。…孤独に耐えて。窯いっぱいにするんで、考えてる余裕ないの(笑)。
仲間はみんな九谷焼だから。まったく抵抗ないよ。取り合わせでね、九谷でも、染付でも合うし。
弟子はいたけども、岩手だし。最近、こんな仕事したいって人、少ない。若い人がね。見にも来ないもんね。窯焚き見学には来るけど。我々の世代のときは結構ウロウロしたけど、まったく反応がないっていうか。うちに弟子に来たのも10年以上前だし、それ以降来たことないもんね。
だけどやるのは圧倒的に磁器じゃないのかな。需要もそうだし。
趣味でやりたい人は結構土ものに行くんだけど。自分でコネコネしたい人は(笑)。
うーん。(長い沈黙)
絵とかつけないから、展開いろいろ急激にとかは、なかなか難しいよね。
体力もいつまで続くかわかんないし。ま、続く限りは。
うちの向かいの小高い山なんだけど、そのずっと尾根伝いに、10世紀頃の白山信仰の修験道の寺の跡が見つかったの。白山比咩神社の文献に出てるんだよね。那谷寺と栄谷寺と温谷寺って、その3つが白山三カ寺であるっていう。そういう文献に残ってて、それがまあ数年前に確認されて。
そこの上に、白山が遥拝できる場所があって、修験道の基地になってたんだよね。そこから全部白山が見える。
(2011年3月9日)